学芸大学東口商店街のBAR はじめて入ったそのバーはとても暗かった。「いらっしゃいませ」という声のありかもおぼろだった。街路より店の中の方が暗いのである。学芸大学東口商店街を駅から五十メートルほど進み、路地を折れてすぐのバー。二頭の羊とBAR LAMBの文字が古びた灰色の木扉にあるのを見つけ、引き寄せられて階段を上がってきたのだ。 太い蠟燭が何本も置かれているが、四隅まで浸す光量に慣れている都会者の目には闇に近く、停電の応急処置のように感じられた。自分の足元が見えない。客の姿はなかったので、私たちはカウンターに沿って摺り足で進み、奥のスツールに並んだ。最奥の灰黒の窓の下は夜なお明るき商店街、人…
BAR LAMB