遠い花の記憶は月見草だ。 祖父母が一時期住んでいた郊外の小さな家。夕方、薄暗い廊下の突き当りにある小さな台所の窓が一面黄色に染まる。その黄色の花帯が見たくて、祖母の料理の手伝いをした気がする。夏休みの終わり頃の親と離れてのお泊り、祖父母のひっそりとした暮らしぶりと相まって、黄色い花の群生は、わたしにとって一抹の寂しさを纏う絵になって心に刻まれている。 気に入って長い間書棚に置いている写真がある。一九七〇年代に東京表参道で撮影したもので、家人の後ろに止められていた車のちょっととぼけたデザインも懐かしい。モノクロームだけれど色は鮮明に思い出せる。着ているワンピースはレモンイエロー、そして手にしてい…
花すけ