原語も訳語も好きな言葉がいくつかある。Ash Wednesday(灰の水曜日)がその一つだ。 三月になるとエリオットの“Ash Wednesday”の詩文を呟きたくなる。“Because I do not hope to turn again Because I do not hope”(わたしは ふたたび振り返ることを 願わないので/願わないので)。とりわけ、この二〇二一年の三月はそうだった。ひたすら近隣を歩くばかりの日が一年近く続いているのだ。願わないので、願わないので、と繰り返していた。 「あるこうあるこう/わたしはげんき/あるくのだいすき/どんどんいこう」 近隣の巡行だけでは飽きてき…
餡とカスタード